アイドルは基本的にメジャー(地上)とインディー(地下)に分かれています。よく「メジャーデビュー決定!」という発表でオタクも「売れた!」と歓喜しますが、そもそもメジャーデビューとはなんなのか。今回はメジャーデビューについての解説をしていきたいと思います。
メジャーとは
メジャーとは英語で「Major」といい、一流、大きい、主要と言う意味があり、有名なものでは野球のメジャーリーグなどがあります。
メジャーデビューとは
日本におけるメジャーデビューというのは、ただ大きい会社からデビューすることではなく明確に「日本レコード協会」に加盟している大手レコード会社から作品をリリースすることを指します。
日本レコード協会とは
正式名称は「一般社団法人日本レコード協会」といい、日本国内の大手レコード会社により構成されている一般社団法人です。主にCDなどの識別番号「ISRC」の発行や二次使用料請求権の行使などを行っているほか、日本ゴールドディスク大賞などの実施を行っています。
以下はその日本レコード協会に加盟している会社の一覧で、この一覧の会社(レーベル)のいずれかより作品をリリースすることを「メジャーリリース」と言います。※厳密な線引きは正会員の会社からのリリースを指します。
日本レコード協会正会員一覧(全18社)
- 日本コロムビア
- JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント
- キングレコード
- テイチクエンタテインメント
- ユニバーサル ミュージック
- 日本クラウン
- 徳間ジャパンコミュニケーションズ
- ソニー・ミュージックエンタテインメント
- ポニーキャニオン
- ワーナーミュージック・ジャパン
- バップ
- ビーイング
- エイベックス・エンタテインメント
- フォーライフ ミュージックエンタテイメント
- ヤマハミュージックコミュニケーションズ
- ドリーミュージック
- よしもとミュージックエンタテインメント
- バンダイナムコアーツ
日本レコード協会準会員一覧(全20社)
- NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
- プライエイド・レコーズ
- ジャニーズ・エンタテイメント
- エル・ディー・アンド・ケイ
- コナミデジタルエンタテインメント
- ジェイ・ストーム
- ヴィーナスレコード
- ハッツアンリミテッド
- ナクソス・ジャパン
- A-Sketch
- ヴィレッジアゲインアソシエイション
- スピリチュアル・ビースト
- スペースシャワーネットワーク
- ワーナー ブラザース ジャパン
- ランブリング・レコーズ
- 東宝
- SDR
- ギャンビット
- キッス・エンタテインメント
- クロア
日本レコード協会 賛助会員一覧(全22社)
- アニプレックス
- ティートックレコーズ
- ワードレコーズ
- フリーボード
- ホリデージャパン
- テレビ朝日ミュージック
- NPP DEVELOP
- エイフォース・エンタテイメント
- トイズファクトリー
- キノミュージック
- キングインターナショナル
- ベルウッド・レコード
- ソニー・ミュージックエンタテインメント
- ソニー・ミュージックダイレクト
- ソニー・ミュージックマーケティング
- エイベックス・デジタル
- クラウン徳間ミュージック
- フライングドッグ
- ソニー・ミュージックアーティスツ
- コロムビア・マーケティング
- エイベックス・ピクチャーズ
- JIJI
インディーズとは
インディーズとは英語の「Independent」から生まれた言葉で意味は「独立系」です。今回の記事では上記の「日本レコード協会」に所属していないレーベル全般を指します。
メジャーとインディーズのメリット・デメリット
前述の通り「メジャーデビュー」に歓喜することが多いのですが、果たしてメジャーデビューすることがいいことなのか。ここではそちらについて解説していきたいと思います。
メジャーのメリット
お金
大手のため、資本がそもそも違います。そのため、アーティストプロモーションにおける宣伝広告費などを莫大にかけることができるのは大きなメリットです。他にもレッスン費用やグッズの制作費、レコーディング費用、ツアーの交通費など、活動のさまざまな部分にお金をかけることができます。
人材・労働力
アーティストの成功のためにたくさんの人を動かすことができます。インディーでは物販をメンバーが行ったり、運営が少ないためライブ活動のやり取りに手一杯で営業やその他の行動が制限されますが、メジャーならそんなことはありません。
また、ディレクターやレコーディングエンジニア、レコーディングアーティストなどさまざまな人材を確保できるのもメジャーのメリットとなります。
政治力
大手会社ということはそれだけコネがあるということ。テレビ局やラジオ局、雑誌社などマスコミへの出演交渉やライブ会場の手配など様々な分野で政治力を発揮できるのは強みです。そのため、メジャーレーベルに所属することで人気番組の他イップ、人気フェスへの出演、人気雑誌の表紙獲得などが容易になります。
ノウハウ
今まで多くのアーティストを輩出してきた実績があるため、マーケティングやプロモーション、楽曲制作など様々な分野でノウハウがあります。
メジャーのデメリット
自由度
多くの人が関わるということはそれだけ、行動が制限され自由が効かなくなります。楽曲の方向性やMVの内容、ライブの演出などもインディーズ時代は好き放題やれてたのに、レコード会社に所属したことで方向性などを決めつけられる可能性があります。また、契約がすべてであり、曲の所有権などがレコード会社にあると移籍した際などにその楽曲を使用することができなくなる可能性もあります。
収入
上記メリットでお金に対して触れましたがそれはあくまでも「使ってもらえるお金」であり、自分の手元に入ってくるお金ではありません。契約の内容によりますがチケットや作品の売上の大半はレコード会社に入ります。特にアイドルは自分で作詞・作曲をすることは少ないので印税も微々たるもので、多くは給料制で契約していることも多く、いくらCDが売れても潤うのは所属レーベルで、アイドル本人に還元されることも微々たるもの…となる場合も。
成果主義
大手は売上に対してシビアです。契約はしてみたものの思ったよりも売れなかったりした場合、かけてもらえるお金が一気に減るなど、所属会社に干される可能性もあります。インディーズ時代なら唯一の所属アーティストとして、つらい時期でも目にかけてもらえるでしょうが、メジャーレーベルからすれば多く所属している1アーティストにしかすぎないので、成績が悪ければ簡単に切られてしまう可能性もあるでしょう。
インディーズのメリット
直接的な収入
インディーズならライブなどのチケットやグッズ売上、CD売上などのほとんどが自社に入ります。そのため、チェキの売上はチェキバックとして50%がそのままアイドルに還元されたりするなど、売れば売るだけアイドル本人が潤うということも多いです。
また、売れれば売れるだけ儲かるため、インディーズの段階で売れているのでメジャー契約する必要がなければしないという選択もあります。バンドになりますがモンゴル800やゴールデンボンバーなどはそのパターンですね。
自由が効く
メジャーのデメリットの逆になりますが、運営が1人だけのところや、セルフプロデュースのアイドルなどそもそも関わってる人間が少ないため、好き勝手やることができます。大手だと体裁などを気にしてできない過激なライブが行えるなどアーティストの自主性を活かした活動がしやすくなります。
インディーズのデメリット
お金
地下アイドルは大手会社がバックについている場合もありますが、セルフプロデュースの場合やなんか売れそうだからと言って個人がプロデュースを始めたというグループも少なくありません。そのため、先立つものがないため、グッズや楽曲が作れない、練習スタジオが借りれない、Webサイトを作ってプロモーションができないなど資金繰りの面でどうにもならなくなることもあります。
流通
CDを流通させるのにもお金はかかりますし、ノウハウなども必要です。そのため、全国流通させることができずに物販限定の販売や、●●限定とやっとのことで契約できた販路であるショップ限定の販売になることも少なくありません。が、今はYouTubeの広告収入やネットによるプロモーションなどやダウンロード配信などの手段もあるため、そこまで大きなデメリットになることはないかもしれないです。
ノウハウ
前述もしましたが、インディーズアイドルの多くは素人に毛が生えた程度の運営も少なくないです。そのため、せっかくのCDも音質が悪かったり、Webサイトもユーザビリティを考えてないものであったりなど、制作物などのクオリティに関わってくる場合があります。楽曲の制作、レコーディングの手順、マスコミへの営業、販売経路の確保など覚えなければいけないことは山程あります。
政治力
1からアイドルを売り出していくことになる場合、まずはライブ出演の営業などから始めることになります。その際に、一つずつイベンターに営業をし、出演オファーをもらってやっと出演…ということになりますし、大手のフェスなどは大手レコード会社所属アーティストで枠が埋まってしまっていて、いつまでも出演できないということも多々あります。(しかし、最近はTIFや@JAMといったアイドル専門のフェスも増えているためサマソニなどを除けば比較的出演しやすいイベントも多数あります)
必ずしもメジャーデビューが正解とは限らない
上記のように、メジャー・インディーズ各々にメリットとデメリットが存在します。メジャーデビューで一気に名が知れ渡り、インディー時代と比べ抜群の人気を獲得したアイドルもいれば、メジャーデビュー時に方向性をガラリと変えられてしまい、インディーズ時代のオタクの大半が他界し解散してしまったアイドルもいます。また、一度はメジャーデビューしたものの、方向性や売上面からインディーズに戻ってしまったり、そこからまた別会社で再メジャーデビューを果たしたアイドルもいます。必ずしもメジャーデビューがアイドルにとってプラスに働くかはしてみないとわからないです。